ネタバレ注意! ネット視聴普及が奪う楽しみ



※この記事はネタバレを多く含んでいます。該当部分は斜体で表記してあります。

 6月26日午後9時28分、米ジョージア州アトランタでマーケティングマネジャーとして働くマシュー・テイラーさん(24)は見覚えのない電話番号からテキストメッセージを受け取った。そこにはテイラーさんのお気に入りのテレビドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン最終話の予想を裏切る展開が暴露されていた。

 「何てことだ、サーセイがキングズランディングを焼き払ってしまった。マージェリーが死んでしまうなんて信じられない!」メッセージにはこう書かれていた。

 テイラーさんは青ざめ、「一体誰?」「なぜこんなことをするの?」と立て続けに返事を打ち込んだ。

 有料テレビからネットへの移行によって、いつでも好きな時にテレビ番組をストリーミング(逐次再生)できるようになった。しかし、そのおかげでスポーツイベントやテレビ番組、映画ファンの楽しみを台無しにする、巧みなネタばらしがネットにまん延している(「ブレイキング・バッド」でウォルター・ホワイトが死ぬ、「ハリー・ポッターと謎のプリンス」でスネイプがダンブルドアを殺す、「マッドメン」でレーン・プライスが自殺する等)。

 「ゲーム・オブ・スローンズ」のネタバレを友人や嫌いな人に匿名で送れるサービスの犠牲になった人たちは1700人以上に上る。

 テイラーさんを裏切ったのは兄だった。「まだ怒っている」と話すテイラーさんは、ソーシャルメディア(SNS)とは距離を置き、友人たちには自分よりも先にエピソードを見ても黙っているよう念を押すことで、このHBOの大人気シリーズのネタバレを回避しようとしている。

 テクノロジー業界で働くシカゴ在住のハンター・レーンさんが、99セントで利用できるネタばらしサービスを共同創設したのは、「ゲーム・オブ・スローンズ」第6シーズン最終話の1話前のエピソードが放送される直前だった。恐らく5~10人くらいは登録してくれるだろうと予想していた。

 だが「反応のすさまじさは衝撃的だった」とレーンさんは話す。次はどの番組のネタばらしをすべきか、現在ホームページで投票を受けつけている。ゾンビを題材にした連続ドラマ「ウォーキング・デッド」が最有力だ。

 2月には「ラスト・マン」のネタばらしをする人が現れた。「ラスト・マン」は米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の優勝決定戦「スーパーボウル」の優勝チームを誰が最も長い期間知らずにいられるかを競うコンテスト。犯人は「ツイッター」で参加者に狙いを定め、30%近くを脱落させた(デンバー・ブロンコスがカロライナ・パンサーズを24-10で下した)。

 マシュー・ローさんとジョッシュ・ソルトさんが、「ゲーム・オブ・スローンズ」の「血染めの婚儀」として知られるエピドードのネタバレ(ロブ・スタークと妻のタリサ、母親のキャトリン全員が死ぬ)に遭遇したのは、2013年にロサンゼルス国際空港で飛行機を降りながらフェイスブックとツイッターをチェクしていたときだった。

 「これは何とかしなくては」。ローさんは手荷物受取所でこう言ったのを覚えている。2人は空港のスターバックスで席に座り、ネタバレ防止アプリ「Spoiler Shield(スポイラーシールド)」の開発を始めた。このアプリを介してフェイスブックやツイッターを利用すれば、ネタバレをブロックしてくれる。

 開発にあたって2人はたくさんのテレビ番組を視聴し、約50番組についてファンが持論を披露しているサイトをチェックした。それには先月行われたトニー賞授賞式などの賞レースも含まれていた(「ハミルトン」が11部門を制覇)。

 アトランタのソフトウェアエンジニア、ジャスティン・ラックマンさんは、インターネットブラウザー「Chrome(クローム)」向けのネタバレ防止アプリ「Froce Block(フォースブロック)」を開発するため、昨年12月の公開前に映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」について自らネタばらしした。事前上映で同作を見た映画評論家の友人から情報を仕入れた。

 ラックマンさんは、フォースブロックの共同開発者をネタバレから守りたかったという。「スター・ウォーズの世界に対する彼の献身ぶりをよく知っているからね。僕はどちらかというとスタートレック派だし」とラックマンさんは話す(『スタートレックII カーンの逆襲』でスポックが死ぬ)。

 しかし、テクノロジーに守ってもらえないときもある。1月のある朝、ペンシルベニア高速道路を東へ走る黒のジープを見た人たちがそうだ。そのリアガラスには黒地に白い文字で大きく「フォースの覚醒でハンソロは死ぬ」と書かれていた。

 ベン・フィンクさんはその写真を撮り、ネットに投稿した。「その車の隣に並んでクラクションを鳴らし、彼に向かって思い切り親指を立ててやったよ」とフィンクさんは話し、次のように述べた。「目がついていれば、いつかはネタバレに遭う」

By RYAN KNUTSON

引用:ネタバレ注意! ネット視聴普及が奪う楽しみ


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