メジャーにも「二刀流」の波が到来か?



 2013年に米大リーグ(MLB)シンシナティ・レッズに入団したマイケル・ローレンゼン投手は当時、ある野望に挑戦させてもらえるよう懇願していた。カリフォルニア州立大学フラトン校でリリーフ投手と外野手として活躍したローレンゼン選手は、プロのレベルでも両方をプレーする機会を望んでいたのだ。ただ、いわゆる「二刀流」はベーブ・ルースが活躍していた時代以降、ほとんど目にしなくなっていた。

 結局、その願いはかなわなかった。

 現在はリリーフ投手に専念するローレンゼン選手は、「可能性さえなかった。考えようという気さえなかったぐらいだ」と語った。

 しかし、今年のドラフト会議が間近に迫るなか、二刀流はそこまで突飛な考えではなくなっている。2人の選手が投手としても打者としても注目されているのだ。プロのレベルでも真の二刀流選手が現れるとの期待感は高まっている。

 その1人はノートルダム高校を卒業したばかりのハンター・グリーン選手。投手としては約160キロのスピードボールを投げ、打者としては140メートル近く飛ばす力がある。遊撃手として守りも堅そうだ。もう1人はルイビル大学在学中のブレンダン・マッケイ選手。2017年は打者として打率3割5分6厘、17本塁打、先発投手として防護率2.31を記録している。

 一方、二刀流として実績を残している北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手(22)は、早ければ2018年にもMLBの球団に移籍する可能性がある。

 専門家は、グリーンとマッケイの両選手とも、投手と打者の両方でMLBレベルの素質を持っていると評価する。

 「(二刀流で)いいじゃないか、というのが私の最初の考えだ」。こう述べるのは、今年のドラフトで全体1位の指名権を持つミネソタ・ツインズの球団幹部デレク・ファルビー氏。「簡単に出る答えはノーだが、それは前例がないからという理由に過ぎない」と語る。

 グリーン選手とマッケイ選手はこれ以上ないタイミングで現れた逸材と言えそうだ。MLB各球団はロースター25人枠の中でいかに戦力を最大化させるか、前例にとらわれない方法を模索しようとしているからだ。

 例えば、サンディエゴ・パドレスは今シーズン、捕手登録のクリスチャン・ベタンコートを主に投手として起用し、状況に応じて外野手や捕手としても使う計画を立てた。ロサンゼルス・ドジャースも最近、控え外野手のブレット・エイブナーを投手として使う可能性を示した。冒頭のローレンゼン選手は4月、代打でホームランを放っている。

 パドレスのゼネラルマネジャー(GM)、A・J・プレラー氏は、グリーン選手もしくはマッケイ選手を獲得できた場合のロードマップについて「球団内部では既に話した」としている。またレッズのディック・ウィリアムスGMは、両選手の飛び抜けたスキルセットを考えれば、チームとして二刀流を「じっくり検討しなくてはならない」と語った。

 とはいえ、二刀流を実現するのが容易でないことは疑いようがない。グリーン選手のコーチだったトム・ディル氏は、プロに比べれば楽な高校の試合日程でも「彼を両方で使うのには苦労した」と話す。

 先人がいないことによる難しさはマッケイ選手も認める。「何がうまくいき、何がうまくいかないかを答えを出すのは難しい。まずは試しにやってみて、何が良いか見つけなくてはならない」

 ただそれでも、マッケイ選手自身は二刀流のチャンスを望んでいる。「片方をあきらめ、どちらか片方だけをやるのはつらい」からだ。ルイビル大で同選手のコーチを務めるダン・マクドネル氏は、MLB各球団のスカウトに対し、マッケイ選手を獲得すれば「1人でドラフト一巡目の選手を2人採るのと同じだ」と伝えているという。同氏は、二刀流プレーヤーは存在し得ると信じており、何か新しいことにチャレンジする勇気と先見の明がある球団こそ、前例のない報いを得られると考えている。

By Jared Diamond

引用:メジャーにも「二刀流」の波が到来か?


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